日和見的平和主義Part.U

BGM:turas song


14.1.17]人身売買

 少し前に、僕が昨年訪れたことのあるカンボジアで、少女買春を行った日本人が逮捕された。

 売春というものが存在する日常的背景から社会的背景までを、僕は述べることは出来ないし、述べるつもりもないが、人間としてその行為自体が売る側も買う側も恥ずべきであることは疑問の余地はないだろう。

 昨日の朝日新聞に、ネパールからインドへ売られる子供が毎年1万人とあり、南アジアの人身売買についても少し報じられていた。

 ネパールは、今年の僕の旅計画に入っている国のひとつなので目に留まった訳だが、多くの旅行者が、『ネパールは宗教心が極めて強く、人々は親切で良い国です。 貧しさは否めませんが、治安も問題はなくヒマラヤトレッキングなど満足の行く旅でした』と語っている裏側で、このような悲しい現実が存在しているのだ。

 あらゆる国に裏表があるのを否定はしないが、この記事が報じているのは、まだ10才に満たない少女までもが売られているという、低年齢層まで人身売買が及んでいる点を大きく指摘している。

 ネパールは9割が農業に従事している国で、食糧に関してはほぼ自給自足であるが、農村部では極貧から学校にも行けない子供達がたくさんいて、そのような子供をターゲットにしている極悪非道な人身売買組織が存在するという。

 ここ数年は人身売買と戦う非政府組織(NGO)とインド警察などの努力により、ネパールとインドの国境で年間300人もの少女を救ったという実績もあるが、まだまだ未解決な大きな問題として今も続いている。

 敬虔な宗教国だけに、運良く売春窟から脱出できても、故郷や家に戻れないと言う深刻な問題もあり、長い年月をかけての戦いが必要になっている。

 山崎豊子さんだったかの作品に、“サンダカン八番娼館”というのがあり、確かに日本にも封建社会だった昔、ボルネオ(インドネシア)などの日本人町に、“じゃぱゆき”さんとして売られた女性が数え切れないくらいいたという事実があったが、当時の日本の国情や時代背景などから考えても、ネパールなどの現状と比べるには無理があり、世界をあげての大きな問題として取り組む必要があると思う。

 しかし、具体的にどのように関わっていけばよいかは、残念ながら僕も分からない。


 14.1.18Y.O氏への返答

 昨日のネパールの人身売買の記述について、読者のY.O氏から、『売春は日本でも社会悪だし、これだけ青少年の犯罪が増えているのは、赤線がないからだ。 発展途上国の売春事情は、一言で片付けられない込み入った原因や必要性があるのでは?』という、素晴らしいご意見をいただきましたので、メールで返答する気力がなく、この場でおおっぴらに書かせていただきます。

 まず断っておきますが、昨日は少年少女の人身売買について憤慨して書き、ついでに売春についても僕の意見を言及しましたが、これは100%本心ではありません。

 何故って、僕だって売春の必要悪は認めるし、援助交際だって売り手と買い手のニーズが合えば勝手にすればいいし、不倫だって字の如く人の道にないのだけど、お互いが割り切ってセックスを楽しめるなら勝手にすればいいという考えなんだよ。

 ただ、警察さんの厄介になったり、家庭を潰したり、相手の心変わりを罵って、果ては刃傷沙汰になったりした場合、自分で責任を取れればっていう条件付で、それらを分かった上での行為でなければいけないってことなんだね。

 僕はご覧の通り、自由気侭なふざけた男だし、たびたび暴言を吐いてアホと言われたり、人格を疑われるようなことをこれまで書いてきたから、たまには真面目に正義感を振りかざして人身売買の問題を書きたかったという訳なんだよ。

 だらか、他国の政治に何の権威もない日本の冴えない中年男が関われないのは分かっているし、それぞれの国の事情もあるから、安易にこれは駄目だ、問題だとエエカッコして言うのはどうかと、本心は思っているんだ。

 でもまあいいじゃないか、何を言ったって僕の勝手なんだから。

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