廃墟
ある日僕は夢を見た
昔住んでた街が廃墟となった
往還の向こうにあった
昔遊んだ小さな神社
建物がボロ布のように壊れていた
隣の屋敷の障子紙も
すべて破られ風が吹き荒んでいた
僕は大声で叫んだ
ある日僕は夢を見た
暗い森の中のあばら家に
寂しく暮らす一人の老人
家には畳も窓もなく
トタン屋根がカタカタ鳴っていた
あばら家の裏には墓があり
雑草が文字を隠していた
僕は大声で叫んだ
その老人は僕だった
その廃墟は僕の心だった