辻さんにささげる詩

辻さんにささげる詩


 辻さんは「百まで生きるんや!」が口癖だった

 「嫁はんは他人や!」とうそぶき

 「子供の人生は別や!」と強がりを言い

 冷たい部屋で一人で暮らした


 「調査は要領や!」とずるい目で

 「俺の言うとおりや!」と満足げに笑う

 「酒は狂い水や!」と非難し

 砂糖たっぷりのコーヒーを愛した


 女性と株の話が大好きで

 人とは距離を置き

 書物を愛し俳句を愛し

 寂しい部屋で一人で暮らした


 辻さんは「百まで生きるんや!」が口癖だった

 でも年の瀬の忙しい時に七十才で

 最後に大法螺吹いて遠くへ逝った

 一人寂しく遠くへ逝った

この詩のご感想をお聞かせください

INDEX HOME